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沢村賞該当者なしの少数意見 [プロ野球]

SBの攝津投手が沢村賞を獲得したが、選考委員会では、当初該当者なしというのが大勢だったという。
理由の一つは、完投数が3回と少なすぎるということであった。球数制限や中継ぎ、抑えの力が重視される投手起用全盛の中で、チーム事情で完投させない場合も生じているから、少なくなるのもやむを得ない点があり、時代の変化を考慮すべきでもあろう。攝津投手を本格派投手として評価することに躊躇う空気が委員会全体を覆っていたようである。
伝説の投手沢村投手は、ベーブルースやルーゲーリックといった歴史に残るメジャーの強打者と堂々と渡り合ったと伝えられている。そうした沢村投手のイメージを最も重視した委員が村田氏で該当者なしの見解を貫いたとのこと。銓衡委員はいずれも20勝を記録した大投手達であるから、攝津投手の投手としての投球には物足りなさを感じていたのだと思う。しかし、次のような評価も伝えられている。恐らくこの筆者は言わずして沢村賞該当者なし、との見解に疑念を提起しているかのようである。

【SPORTS BAR】3年ほど前、ソフトバンクホークス・王貞治会長と雑談していたとき、「ウチの選手の中でメジャーで即、通用する投手は誰だと思う?」と問いかけられた。「和田(毅=現オリオールズ)か、杉内(俊哉、現巨人)ですか?」と答えたところ、王さんは首を横に振って、こう説明してくれた。

 「摂津(正=当時中継ぎ)だよ。ファルケンボーク(当時抑え)やホールトン(現巨人)が“すぐにでも通用する”って太鼓判を押していた。理由を聞くと、抜群のコントロールだって…」

 メジャーには160キロを投げる投手はゴロゴロいるが、速さだけでは通用しない。成功のカギは“制球力”にあるようだ。

 そういえば…。以前、メジャーを取材した折、何人かの打者に「最高の投手は?」と聞いたところ、「ロイ・ハラデーかな」と即答された。フィリーズの右腕で通算199勝100敗、サイ・ヤング賞に2度(2003、10年)輝いた。150キロに満たない速球ながら抜群の“制球力”があった。

 かつて“精密機械”の異名を取ったグレッグ・マダックス(元ブレーブスなど。通算355勝227敗、サイ・ヤング賞4度)がそうだったように、メジャーでも投手の生命線は制球力である。

 摂津も最速148キロと飛び抜けて速くはないが、スライダー、カーブにシンカーを“針穴”で抑え切る。社会人・JR東日本東北時代、テークバックを小さくして、“早めにトップの位置”を決めることで、ブレがなくなり制球力が増したという。「夕刊フジ」(産経新聞特別記者・清水満)

攝津投手は、中継ぎという沢村賞銓衡委員の誰一人として経験したことのない経験者である。恐らく、先発投手の勝ち星を消しかねない、チームの勝ちをダメにするかもしれない重圧の中で投げ続けた精神の強靱さを先発に回ってからも維持してきたのは銓衡委員が求める本格派投手の重要な条件でもあると言える。
先発に回ってからは、速球で打者を空振りさせることは少なくなってはいるが、速球で空振りをとることができるのは変化球との組み合わせもあるのだから、奪三振数が田中投手やダルビッシュ投手に比べて、少ないのはやむを得ない面があるとは思う。
摂津投手は本格派投手の概念を一つ拡大したとみるべきであろう。
それにしても、村田兆治氏の説明は、解説もそうだが、投手時代と同じように剛速球だが制球を些か欠いた独特の言語世界を形成していて隔靴掻痒の嫌いなきにしもあらずである。
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