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震災復興の財源論 [国家財政]

<東日本大震災の復旧・復興費4兆153億円を盛り込んだ2011年度第1次補正予算案は、30日の衆院本会議で全会一致で可決、参院へ送付された。

 1日から参院予算委員会で審議され、2日に成立する見通しだ。

 予算案は、がれきなど災害廃棄物の処理や仮設住宅の整備、被災者生活再建支援金の支給、道路や港湾の復旧など緊急に必要な経費が中心。財源は11年度当初予算で基礎年金の国庫負担分として盛り込んだ約2・5兆円を転用するなどして捻出する。>(YOMIURI ONLINE)


国債発行の巨額な残高を抱える中で、非常事態発生とともにその財源が問題にされる。目的を限った国債の発行とか、日銀の国債引き受けとか、いわゆる埋蔵金探しに躍起になるのを常としているのが、ここ数年の予算編成段階での議論である。今回は震災という異常事態の中での補正予算の編成であったが、復旧・復興費用として、当面の措置としてであろうが、平成23年度の当初予算に組み込んだ基礎年金の国庫負担分を転用するというのが今回の補正予算措置の経緯であった。
予算委員会の審議過程について、読んだり聞いたりしていないので、細部にわたる議論の過程は知らない。しかし、メディアを通じて把握する限りでは、外国債の売却による財源確保の話は聞かない。
世界第2位の債権大国である我が国がこのような非常事態時の財源に外国債を売却して財源を確保するということが議論にもならないのは不可思議千万であろう。我が国は、中国に次いで巨額な米国債券を購入所有していることは周知のことである。現在の為替レートで円換算しても、82兆円強にはなっているだろう。米国債から得られる金利所得は、低金利と言っても相当な額にのぼる。それらは国庫収入として予算として計上されているのだろうが、米国債を含め保有する外国債の3%相当でも市場で売却すれば、基礎年金の国庫負担分を転用せずともよかったはずである。
個人なら家計に非常事態が生ずれば、元金を割るようなことがあっても、株式や債券を売って凌ごうとするのが通常の行為である。
既に書いたことであるが、米国債の売却には米国に承認を求める必要があるようである。米国債の売却は国債の下落、金利の上昇を招くという問題点があることは推理できる。しかし、日本円で3兆円程度の米国債の売却ならば、市場に大きな影響を及ぼすとは思われない、と考えるのはド素人の言い分であろうか。現に報道では、先の円高局面で諸外国が強調して円売りをした規模は3兆円程度ではなかった、と記憶する。

聞きかじった限りでの知識で論じているので、ド素人の犯す陥穽があるのだろうが、国際金融の仕組みの本質を知りつくしている、米国の金融関係者などの利害と深く関わった問題が内包されているのだろう。

反米の立場に立つことの多い共産党などはこの種の問題を国会の審議で議論して問題の本質を白日の下に晒して欲しい。

追記
<政府は震災前、基礎年金の国庫負担維持に必要な2.5兆円について(1)11年度は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金など「埋蔵金」を使う(2)12年度以降は税制の抜本改革による増税分を充てる--方針だった。だが、震災後は(1)を復旧費に回し、(2)の方針を11年度に「1年前倒し」(野田佳彦財務相)することで決着した。

 元々、(2)の「12年度以降分を増税で賄う」方針は、11年度末までに消費税増税を法律で決め、その後--との順番が大前提。準備期間の関係で実際の増税は14年度以降になる見通しだが、その間年金積立金の取り崩しが続いても、将来の増税が法律で担保され、返済の見通しがついている点がミソだった。

 ところが、「11年度分も将来の増税でまかなう」という今回の前倒し方針は、法改正による増税の裏付けがなく、返済の保証もない。厚生労働省は「当初方針と似ているようで実は違う」(幹部)と不信感を隠さない。

 また、14年度から増税に踏み切り、11~13年度の年金積立金取り崩し分(毎年2.5兆円、3年で計7.5兆円)が完済されても、その間、積立金の運用収益は減る。市場での平均運用利回り(01~09年度、名目)は1.77%。この通りなら、11年度だけで約450億円の運用収益を失う計算となる。3年間なら数千億円の損失だ。

 09年度末の年金積立金残高は128兆円。既に計画の154兆円を下回っている。厚労省は給付がピークに達する30年後には220兆円まで積み上げ、巨額の年金を支給する計画だが、これには一定の運用益を織り込んでいる。そもそも同省の運用計画は、平均運用利回り(名目)を4.1%に設定し、「甘い」との批判を浴びている。運用益が想定を大きく下回れば保険料の値上げや給付減に直結する可能性もある。>(毎日新聞)
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