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蚊に血を吸われて [功利]

今朝分別ゴミを出しに行く途上のこと。両手が塞がっていた。ふと左手の甲を見ると蚊が止まっているではないか。ゴミ袋を左手にして右手で叩いたら見事に殺すことができた。鮮血が叩いた掌についた。たっぷり血を吸っていたので動きも鈍くなっていたのである。蚊でも血を吸うのは産卵を控えた雌の蚊だけとか。
それはともかく、蚊も筆者も無駄な営みをしたものだ、と妙な考えに捉われた。せっかくたっぷり血を吸った蚊は、有効活用する間もあらばこそ命を失い、筆者は血を吸われて痒くなってかゆみ止めを塗布した。得した者はといえば、虫さされの製薬会社である。こういうのを漁夫の利と言うのだろう。筆者もかゆみが緩和したので、若干は得したことになるのであろうが。生き血を吸った蚊が仮にも逃げおおせていれば、筆者だけが、血を吸われ、痒みを覚えるという一人負けの<犠牲者>になっていた。

サブプライム問題が表面化して以来、金融危機が問題視されてきたが、ここ数日間にフレディマックとファニィメイの公的資金による救済、昨日はリーマンの倒産、今日はFRBのAIG救済、等々、金融機関の底無しの破綻が露見し、金融恐慌をもたらしかねない状況である。
こうした大手の金融機関は本業で失敗したのではないとのこと。複雑な仕組みの金融派生商品を開発して、利益という生き血を吸い続けていたため、鈍重になって身動きがとれなくなり、経済活動では必ず生ずる景気の停滞現象に叩きつぶされたのであろう。金に金を生まそうとしている間はまだしも、安全装置として開発したクローンまがいの証券化という仕組みが実は危険分散の装置であったために、まるでクラスター爆弾のように諸処で破裂しているように思われる。

事故米の場合も同じ図式にみえる。こちらは事故米を通常の米として販売するという単純な仕掛けが発端である。古典的な詐欺商法である。普通米として購入した仲介業者はのりしろをつけて次々に売りさばく間に化粧直しも済んでいて、末端の製菓業者などは手の施しようもなかったというのが、実情だったようである。
クラスター爆弾使用禁止の条約批准には動きの鈍かった政府は今回は末端の業者名まで素早く公表している。あたかもこれらの業者の製品を買って被害にあっても自己責任ですよ!と言わんばかりの対応である。官僚の責任回避対応の狡猾さであろうか。
そもそももてあましていた事故米を政府は捌きたかった。何度も立ち入り検査をしても不正が見抜けなかった。いや、見抜きたくなかった。だから、検査実施を事前に通知しているのである。

金融不安にせよ、事故米詐欺にせよ、生き馬の目を抜く遠く離れた世界のことに見えるので、天網恢々疎にして失せずということも忘れて、閣僚会議は「日本の金融機関の経営に重大な影響はない」と楽観視しているとか。今朝のラジオで金子教授が指摘していたが、金融立国の政府の思想がお手本にすべきアメリカで事実を伴って破綻しているのにその意味も総括できないのであろうか。

アメリカの金融危機が本当に影響が少ないのであれば、アメリカ経済の規模は小さいということである。経済の好調時には過大に評価し、不調時には過小評価するというのは、必要以上に不安を煽りたくないとの為政者としての配慮があるのかもしれないが、実態や事情を正しく把握できない恐れなきにしもあらずであろう。その結果、きちんとした今後の展望も持つことが出来なくなるのではないかと危惧する。
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