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独立法人の統廃合 [行政改革]

独立行政法人(独法)の抜本改革に関する政府の基本方針の原案が明らかになった。

 独法は2013年度末に廃止し、新たに「成果目標達成法人」(仮称)と「行政執行法人」(同)を創設して業務の性質により即した運営や事業評価に努める方針だ。

 102の独法のうち、現時点で廃止が固まったのは財務省所管の日本万国博覧会記念機構、総務省所管の平和祈念事業特別基金、文部科学省所管の国立大学財務・経営センターの3法人。国土交通省所管の空港周辺整備機構と海上災害防止センターの2法人は民間に移管する予定だ。政府は、廃止・民営化の法人数をさらに増やす方向で調整を進めているが、大半は新設の2法人に移行し、事実上存続する見通しだ。政府は基本方針を今月下旬にも閣議決定し、通常国会に関連法案を提出する。<YOMIURI ONLINE>

今日からセンター入試が始まる。その業務を司るのが独立行政法人の一つである大学入試センターである。このセンターは大学入試の共通一次試験実施のために設置された。大学に属する事務官僚が集まって組織編成された国の機関である。公務員の削減という行政改革の一環として国立大学や研究所などが、独立行政法人に組織替えされた時にこの大学入試センターも独立行政法人になった。
共通一次試験は発足した当時から失敗であったと言われてきたが、一度できた役所は潰さないのが役人の知恵と力であるから、そのまま存続して今日では司法官試験の前段階の法科大学院適性試験まで取り仕切って業務を拡大している。
当初は国立大学が利用していたが、今年のセンター入試では55万人を超える受験者がいる。同年代の半分近くの若者が受験していることになる。そのため高校生の学力測定の基準的役割を果たしているとしてこの制度の廃止には与しない識者も少なくない。しかし、このセンター入試を利用している多くの私立大学は精々三科目を科している程度なのだから、学力測定の基準的役割にもなっているともいえない。
数年前から、このセンター入試では英語のヒヤリング試験を導入している。悪のりもいいところである。このヒヤリング試験に使用される機器はソニー製だという。民間企業の人は、なにかあると公務員の経営感覚を批判しがちであるが、同じ穴の狢である。そのことはともかくこのヒヤリング試験では監督者は大変な気苦労を余儀なくされていると聞く。問題作成を含むかけられている労力に比べてどれだけの効果があるのかはなはだ疑問である。
センター入試の問題は、高校で学んだ基礎学力を検定する所に主眼があるので、超難関大学では、8割から9割を超す得点がないと大学が独自で実施する入試の受験前に門前払いになることもあるとか。
今日の地理の試験でも訂正があったり、ヒヤリング試験の機器に問題があったりと現場の責任以外の処で混乱が報ぜられている。
センター入試の出題は、原則として独法大学の教員が中心になって担当しているようだが、その労力は大変だと聞く。最近は私学もセンター入試を利用している大学が多くなっているので、私学教員の担当者も増えているとか。出題には大変な労力と神経を使っているようだが、それでもミスが出たり、予備校や高校教員の批判を受けたりする。
センター入試を前菜として、各大学の独自入試があり、それが合否を分ける関門になるのが所謂難関大学の選抜方式である。センター入試の得点だけで合否が決まる大学もある。それ以外にも推薦入試とか、大学に至る門戸は多様である。
このような実情を考えると、膨大な労力と費用とをかけてまでセンター入試を実施する必要があるかどうかは甚だ疑問である。殆ど役に立っていない大学入試センター法人を廃止して単純化することが大切である。それが規制緩和でもある。
多くの人はいろんな分野での規制緩和を唱えるが、教育の分野ではむしろ規制強化が組織や人々を蝕んでいるように思う。
権力欲の旺盛な橋下大阪市長は、国歌の起立斉唱を義務づける条例を提案しようとしたりしているが、なんとも枝葉末節にとらわれた発想であるだけでなく、為政者としての器量と識見が推し量られる。そんなことより大阪市立大学がセンター入試からの離脱の可否を教授会に諮るように提起する方がよほど真っ当な理性的対応であるように思う。(正月14日)

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