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節約は最大の投資 [政治]

安部政権に最も期待するのは、景気対策だという。安部政権に限らずどの政権に対しても国民は経済面では景気回復や景気の維持を望んでいる。前政権下の経済政策が著しく拙劣であったから、景気が芳しくなかったのではない。無秩序な国債の乱発を避けて財政再建にウエイトを置いた施策を重視して経済成長政策の明確な展望を示すことができていなかったことに大きな要因があったと言ってよい。消費税増税と社会保障の抜本的見直しによる財政再建への道筋をつけるということで自公との三党合意を得ていた。
ところが、安倍内閣が発足するや、景気を最優先課題として円高是正つまり円安と物価上昇率2%設定を掲げ、その考えに従わないないなら、日銀法を改正も視野に入れるというところまで積極的な経済運営に踏み込もうとしている。それにつれて、株価上昇、円安にもなって如何にも明るい経済活動が展望されるような雰囲気になっている。景気には心理的な作用が大きく左右する面があることは否定できないが、現時点ではその先行指標の一つである株価だけが先行して反応しているだけなのが実情であろう。
家財家具や衣類の整理整頓が関心になり、そうしたことを事とする専門家がアドバイスをしている放映を見た。なるほど乱雑にものが家中に溢れていて、部屋がものに占有されている状態であった。
整理するというのは、畢竟不用なものを思い切って捨てるということである。所謂断捨離である。こうした整理整頓が求められていること自体が、我々の生活を取り巻いている実態は供給過剰の状態にあるということの証左でもあろう。
需給バランスが供給サイドに偏っているときに、物価上昇率を2%に設定してそれを達成しようとするのは至難のことであろう。だからなのかどうかは分からないが、規律ある財政政策の遂行などの合意はどこかに置き忘れて、財務大臣などは国債の乱発で景気を立て直そうと企図している。正に箱物や道路造りで潤ってきた利権集団に支えられて成立していた旧来の自民党政治の伝統的手法の再利用で景気回復を図ろうとしていると言ってもよい。それだけでは芸としては見劣りするので、物価上昇率の設定とか日銀法の改正、円安誘導の思想で目くらましをしているのではないかと思う。明確な経済成長の考え方は示されていない中で、対処療法的な施策が先行して、結局は、後世に巨額な負債を残すことになる、後は野となれ山となれという刹那主義的経済運営に頼ろうとしているにほかならない。
その帰結として原発再稼働や建設続行が安易な口上となっている。放射能汚染までが自民党政治の復活とともにきれいに除染されたかのごとき風化振りである。今回の大地震による甚大な被害も放射能汚染さえなければ、対応の仕方は簡明で単純であった。汚染地域に帰宅して農業に従事することすらできない多くの被災者の実情を忘れている自民党や公明党の為政者の発言は、中部電力の社員の一人が原発事故で亡くなった人はいない、だから原発安全な動力源だと言ったのと五十歩百歩である。
地震列島に住んでいて、あれだけの惨事を目の当たりにして原発再稼働を容認することを十分予想できた自民党に圧勝させた有権者の選択の結果は、恐らく列島自体が放射能に汚染されてしまい、金持ちだけが海外に生活の拠点を必死になって求めるような事態が来ても、まだ地塘春草の夢から覚めないことを物語っているのかもしれない。アメリカでは火星に8万人が行くことができるような計画まで策定されているとか。最後の審判を避ける壮大なノアの箱舟なのだろうか。
結果として貧富の格差を増大せしめた小泉改革政権時代に金融立国を唱道した経済学者の名が次の日銀総裁の候補者の一人に上がったりしている。
所詮、経済学も神学論争のようなものだとすれば、一方で成長戦略も立てつつ、原点に立ち返って、財政の立て直しを図ることが日本国の最大の課題のように思われる。
惨敗した民主党代表に経済に通じる海江田氏が選ばれたが、党首討論などの機会を利用して安部首相と明確に対峙してアベノミックスの問題点を明らかにすべきだろうと思う。その点では民主党の代表選びは後手を踏むことの多い同党としては評価してよい選択だったろう。
阪神淡路大震災は社会党の村山内閣の時に、東日本大震災は民主党政権下で発生した。行政能力の未熟な政権が二度の甚大な事故の処理に当たり、その未熟さに失望した国民が旧態依然たる自民党と公明党に政治を託しているこの事実が日本的な特質を象徴的に表しているのかもしれない。否、日本国の行く末を暗示しているのかもしれない、とつい悲観的に考えて見たくもなる。
といいつつも、国民は日々生に之努めている。しかし、国民という民は存在しないことを為政者は肝に銘じてほしいというのが切ない願いである。


今日の日経新聞(朝夕刊)第一面の紙面構成 [ジャーナリズム]

日本経済新聞は、経済事象を中心に扱うことを目的にした新聞である。
昨夜からTV各局で報道していた重大なニュースは、中央自動車道笹子トンネルの崩落事故であった。九人の死者が出ている。経理面では減価償却として計上しながら、老朽化を視野に入れなかったために生じた人災事故である。
各紙はこの崩落事故を一面のトップニュースとして報じている。日経新聞だけは、<「病院から施設へ」進まず>という大見出しのもとに、「高齢者 介護入院 最長に」「医療費膨張招く」という二つの副題を付した記事がトップニュースである。
この記事は、予定原稿として既に組まれていて、笹子の崩落事故をトップニュースとして扱うだけの認識に至っていなかったのかもしれないが、経済最優先の紙面構成が露骨である。しかも高齢者は、年金を含め医療費等で社会保障費の費消者で財政を圧迫していて現役世代の負担を過重にしているという現実認識が基底にあって、要介護や病弱で入院している高齢者は金食い虫だから早く死ね!と言わんばかりである。尻を叩かれなくても高齢者は順番に死んでいく。
夕刊第一面のトップ記事も、「投信分配金 3年ぶり減」の大見出しのもと、「超低金利長引き運用不振」という記事で構成されている。崩落事故の記事の扱いは上記の記事よりは軽い扱い方である。
朝刊の流れを受けて意地になって紙面構成をしているのかもしれないが、経済最優先の記事を書いている割りには、有効な経済政策の提言は出てこない。人命よりも重い経済への万能薬はないということを自ら示しているようなものであろう。そうした自省がないことを端なくも今日の日経新聞は朝夕刊を通じて露呈していると言えるだろう。日経、読売、朝日の読み比べ欄もいつの間にか消え失せている。
年金についても、物価下落にスライドした減給が三年間放置されてきた責任がまるで年金受給者の側にあるかのように書いたりしている記事もある。正に政治の側の責任である。仮に高齢者への配慮に基づく政治的判断であったとしても、有権者たる高齢者の責任ではない。
社会保障費が初めて100兆円を越え、年金が52兆円を占めるという。支給された年金の52兆円がどのよ程度まで使われているかは検証できないが、生活費や娯楽費などとして費消されると考えるのが妥当だとすれば、3%の消費税は国庫への歳入となる。52兆円の80%が消費税の対象となる使われ方をしていれば、12億円が税として歳入になり、雑所得として課税される年金受給者もいるのだから、これも国庫の歳入となる。単純に計算しても、年金のみならず社会保障費は巡り巡って国家予算の歳入に還元している比重はそう軽くはない。公共投資が雇用を生み、GDPに寄与して歳入になるのと余り変わらない歳出の性格をもっている。

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