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外来語頻用でNHKを提訴 [言葉]

NHKの放送番組で外国語が多く使用され、内容が理解できずに精神的な苦痛を受けたとして、「日本語を大切にする会」世話人で岐阜県可児市の元公務員の高橋鵬二さん(71)が2013年6月25日、NHKに対し141万円の慰謝料を求める訴えを名古屋地裁に起こした。

高橋さんはNHKと受信契約を結んで視聴しているが、番組内で「リスク」「ケア」「トラブル」などの外国語が乱用されていると主張している。  (J-CASTニュース)

そもそも外来語の定義・規定は難しい。
ここで出ている「リスク」を「危険」と言い、「ケア」を「面倒」「世話」と表現し、「トラブル」を「困難」「難儀」「厄介」「事故」と言ったとして、危険・世話・面倒・困難・厄介・事故の諸語はいずれも漢語である。純粋なやまと言葉ではなく、広義での外来語だと言ってもよかろう。
やまと言葉は造語力に欠陥をもつと言われる。貧しい造語力を補うべく漢語表現を援用して日本語の表現力を豊かにしていると言えるだろう。
外来語の定義は日本語学の上でも、言語学上からもそう簡単に決着のつくものではなく、境界線も明確に定めることはできないことはさておいても、言葉は時代とともに変遷する。
リスクとかケアとか、あるいはトラブルという言葉も十分定着していない、定着する過程にある表現だとも言える。これらの諸語にはそれ相応の言葉のニュアンスがあって、「リスク管理」と「危機管理」の言い回しには微妙な差を感じさせる。ケアホームと介護施設とはまた微妙に異なった使われ方を感じるだろう。トラブルの絶えない会社という場合と事故の絶えない会社というのではまた受け止め方は異なるだろう。
ちなみに言えば、「菊」は外来植物なので和語はない。文字のみならず漢音の「キク」をそのまま使ってきたので我々はキクを和語だと思い込んでいるに過ぎない。
皇室の御紋が菊に定められた歴史的経緯には不案内だが、大和朝廷が騎馬民族による征服王朝だったのではないかという古代史の謎とつなげて想像を逞しくすると甚だ興味深い。仁徳陵などの御陵の発掘が進められて、考古学上の遺跡から古代史が解明されることを期待しよう。

腹腔鏡手術と口腔外科の読み方 [言葉]

テレビやラジオでは、表題の腹腔や口腔は、「ふくくう」「こうくう」と発音されている。
前者は知らないが、後者について、昔は「こうこうげか」と読んでいた。いつ頃からか、「こうくうげか」と読むようになって、耳慣れない読み方をすると思っていたが、腹腔鏡は「ふくくうきょう」と読むのが定着しているようである。いずれの場合も、「腔」を偏旁の「空」の発音「くう」に引き寄せられて、漢字本来の発音である「こう」を転化させて「くう」と誤読してのことだと推測できる。
漢字の発音それ自体が時代とともに複雑に変遷して正しい漢字の発音がどうかという問題になると、音韻研究の専門家でも厄介な問題領域であるようなので、「こう」を「くう」と読んだからとて別段正しくないとは言えない。
このような例の顕著なのは、消耗の「耗」である。「耗」の発音は正しくは「こう」であるが、偏旁の「毛」の発音は「もう」なので、それに引きづられて「消耗」の発音が「しょうもう」になり、それが定着したのである。だから「しょうこう」と読むと、聞き手は咄嗟に意味がとれないだろう。これも「減耗」となると「げんこう」と発音されるのが通例である、と言えるほどの自信はない。
口腔にせよ、腹腔にせよ、消耗にせよ、概念の表記には漢字を用いていて、その読み方は漢字の発音を日本語のように便宜化して表現しているのだから、「こう」であろうが「くう」であろうが、神経質に拘ることはないかもしれない。
ただ、言葉は精神活動を外在化させているので、思惟や思考と深い繋がりをもつことは言うまでもないので、古人も言うように「言は慎まざる可けんや」ということなるのである。
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イケメンとダメンズ [言葉]

イケメンのメンは面で、よい面相をした男という意味を表しているのが、第一義というか原義だ、と推察する。派生的にメンは、menと通じさせて使われるようになり、幅広い意味で「いかした男」という意味で用いられるようになっているのだと思う。
一方、ダメンズは、漫画で使われてダメなメンつまりダメな男という意味を表して普通に使われるようになったようだ。
後者のダメンズはダメなmenと音通で作られた造語なのだろうが、ダメンズという表現は女の婦人に類する。menは言うまでもなく、manの複数形である。複数形のmenに複数を表すためのsの付加は複数の二重表現である。恐らく英米人が聞くとおかしな英語というだろう。
イケメンも「いかした男たち」というのが直訳的理解になるが、いかした男の単数形として用いられている面もあるので、単複自在に使っていることになる。日本語が複数概念と単数概念に余り拘らない反映でもあろう。
「ダメンズ」を「ダメン」と表現すると、英語としては正しい造語法になるのだろうが、不得要領な表現であって直観的に理解しがたい響きになる。それで敢えて英語の文法を無視して「ダメンズ」という表現をしたのではないかと推察する。漫画家の言葉に対する感性がしからしめたのかもしれない。
漢文の訓読という独自の異国語受容の歴史的文化的応用力が英語を生かした造語法に結びついているのだと考えると甚だ興味深い。
コカコーラを「可口可楽」と音訳したのは秀抜な翻訳だと言われる。「口にすることができたら、楽しくなる」という意味も込められているからである。漢字のもつ表意性と音との連携のなせる所なのだが、イケメンといい、ダメンズというのは、日本語の直感力と音とが結びついた造語だと言える。

高齢者に注意せよとの注意の喚起 [言葉]

テレビやラジオを視聴していると、交通安全運転に関して、高齢者に注意をして運転しましょう!という言葉を耳にする。
確かに高齢化すると反射神経も鈍り、運動能力も衰えるので、自動車や自転車への対応が遅くなったり、注意が欠如して,事故に見舞われることが多い。特に暗いところや人通りの少ない道を歩行したり自転車に乗っていて事故に遭遇したというニュースを聞く。
一方で高齢者が高速道を逆走したとか、ブレーキとアクセルを踏み間違えたために多くの死傷者が出たというような事例も報道される。
高齢化が身体機能を低下させているということは、裏を返せば、高齢者の運転技術や運転能力も低下して、自損事故の可能性を含め、他者に危害を加える危険性も増大させていることをも意味する。
一方で被害者になる要因は他方で加害者になる要因になるのであるから、高齢者に配慮する運転をするように呼びかけるのは、均衡を失している。
三年ほど前から、小中高の教員は10年に一度の教員の免許更新の講習受講の義務化が法制化され、実施されて、現職の教員の負担を新たに背負わせている。しかも受講費用は教員の個人負担である。
自動車の運転免許についても、免許の更新はあるが、国民健康保険制度のように、一定以上の高齢者については、医師の診断書がなければ、免許不交付にして運転ができないような法的制度の確立が必要に思うのである。
高齢者が事故の加害者になると、家族も責任を問われる。認知症に近い高齢者の自動車運転で子供や働き盛りの人が事故に巻き込まれるとやりきれない思いに駆られる。

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