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TPP交渉正式参加 [政治と経済]

TPPの内容については当事者でも契約交渉の中身は分からないほどの秘密裏のことであるから、素人が分からないのは当然である。とはいえ、交渉の原理から言っても、三年遅れで交渉に参加したこと自体が戦わずして負けているようなものではないかと思う。
既に著作権問題では、米国に追随して50年を延長して70年に伸ばうし、今朝の新聞が伝えるように、郵政がアフラックと提携するというようにTPPといってもひたすらアメリカに擦り寄っているのが実情のようで、自動車では関税障壁を米国の事情で設定できる仕組みになっているとか。
アメリカ発の報道では、日本がTPPに参加することで世界経済の成長を押し上げると試算がなされている。日本の成長率への寄与よりも世界への寄与度が高いという試算である。にも関わらず、参加させてやる、参加しなければ世界の貿易活動で孤立して不利な立場に立たざるをえないという姿勢が露骨である。
秘密裏の交渉であるから、天秤に掛けようがないが、交渉がまとまって得る結果は惨憺たることになっていて覆水盆に返らずという事態を招くことになる危惧も大いにある。
自由貿易に関わる関税問題については既にガットがあって、その精神に沿って自由貿易の枠組みを構築していけばよいという最も原理的な立場でのTPP参加反対の立場に立っている論者もいる。傾聴すべき見解であろう。

西武HD株のTOB [政治と経済]

アメリカの投資会社サーベラスが西武HD株式の買い増しを企図してTOBがなされている。40%超の株式取得を目指していると報ぜられている。内容が白日の下に晒されてからは否定しているが、西武の経営陣に路線廃止や球団売却などを提示しているのは、企業価値を高めて高値での株式の再上場を狙っているからとか。
サーベラスは取得価格よりも高値がついた時点で売却して利ざやを稼ぐというのが投資ファンドの基本的方便のようである。ハゲタカファンドと称せられる所以でもあるとか。株式は安いつまり企業価値が低いと判断した時に買って、企業価値が高くなって株式が高くなれば売るというのが株式売買の一般的やり方であろう。
今回、サーベラスは再上場時での企業価値を高くするために、元金融庁長官の五味氏を社長にし、かつアメリカの大物政治家や経済人を経営陣に加えることも提案している。
五味氏は、西武が証券取引法違反で上場廃止になった時の金融庁長官である。恐らくトップとして西武の会計処理の不適切さの内実や企業経営の実態をきちんと理解把握していたことはほぼ間違いないだろう。その当人が投資ファンドの要請を受けて社長になるというのは退任しているとはいえ、職務上知り得た情報への対応ということも含めて重大な公私混同になるのではないか。少なくとも節操という点で如何かと訝しくなる。
同氏は、テレビ出演の合間に、キャスターから今回の問題について真偽を質された時、サーベラスは上場廃止後の(企業存亡の)リスクを取ったのだから、それに見合う果報を得ることは何ら問題ではないだろうとの見解を披露していた。
本当にリスクを背負わされたのは、株主優待などを期待してもっていた一般の株主であったろう。上場廃止になったのであるから、一般の株主も原発事故で低落した各電力会社株の所有者以上に憂き目をみているだろう。
リスクを背負うというのは文字通りリスクを背負うのであるから、球団売却や路線廃止を主張することと背馳することになるのではなかろうか。社長就任を引き受けた五味氏の所説も甚だ偏っていると思うがどうであろうか。

1着9900円のスーツ [政治と経済]

スーツの値段は下がる一方で、1着1万円を切るものまで登場している。

「9900円という価格設定が可能なのは、全国チェーン店ならではの大量生産、大量販売だからこそ。生地や縫製の大量発注でコストを大幅に下げている。

 さらに中国の工場の暇な時期に作業をさせて、工賃を繁忙期より2割安くするといった工夫も。最近では、中国よりも人件費の安いベトナムやペルーなどからの輸入も増えている」(業界関係者)

 店頭での人件費や運送コストなどを含めると利益は1着あたり1400円ほどだという。一方で、「2着目は半額」にしている店も。(週刊ポスト2013年2月15・22日号)

安倍首相の物価上昇率2%目標と上記の記事の現実とは如何にも乖離がありすぎる。需給バランスが完全に崩壊している商品領域の方が遙かに大きいのでデフレ経済が深化しているのだと考えると、新しい分野での成長戦略の具現化しか日本経済再生の道はないように思う。

安倍首相の施政方針演説では、経済再生のことが中心課題とし強調されて、原発問題や国民生活の問題は敢えて避けていた。否、避けざるを得なかった。福島原発事故も放射能は目に見えない存在で、直接人を殺していないという中電社員の暴論と何処か通ずる現実認識が根底にあるので、目先の問題だけを敢えて取り上げて強調しただけのように思える。一種の修辞による目眩ましであろう。
為政者は問題の本質を剔抉して現実の対応課題としての優先順位を示すのが務めだと思う。現実に放射能問題で苦しんでいる多くの人がいる中で、その問題について施政方針演説で深刻に問題にしなかった内閣の支持率が高い所に国民の問題意思が那辺にあるかを考えさせられて興味深い。

米の先物取引開始への疑問 [政治と経済]

鹿野農相は7月1日、東京穀物商品取引所と関西商品取引所から申請されていた米の先物取引の試験上場を認可することを午前の会見で表明。農水省は同日夕にも両取引所に対して認可書を渡す。

商品先物取引法上、試験上場の申請については[1]十分な取引量が見込まれないこと、[2]生産・流通に著しい支障を及ぼすおそれがあること、の2点を立証できなければ認可しなければならないとされている。
 鹿野農相はこの2点のいずれについても「立証することが困難である」として「認可することにした」と述べた。
 そのうえで「あくまでも試験上場。異常な取引がないよう市場を監視、監督していく」と話し、試験上場期間中に先物市場の機能や価格の乱高下などについて検証を行っていく考えを示した。
 平成21年に改正された商品取引所法では▽値幅制限の強化、▽建玉制限の強化、▽取引の停止・強制決済の実施を農相が取引所に命令できるようになった。認可にあたってはこれを両取引所に通知する。
 鹿野農相は先物取引のメリットについて価格形成の「透明性確保への期待感はある」と述べ生産者、卸業者などにとっても価格の指標が明確になるとした。(農政・農協ニュース)

東日本大震災発生からまだ四ヶ月も経たない、十万人近くの避難所生活を余儀なくされているという異常な事態の時に、よりによって国民の主食である米の先物取引を認可するこの農林大臣やこの内閣の状況認識の浅薄さに驚くばかりである。愕然とする。

先日、NHKの朝の経済番組で内橋克人氏が疑問を提起していた。この疑問の提起以外、殆どのメディアなどでも問題にされていない。確かに米の先物取引は江戸時代に既に実施されて長い歴史がある。

原油の先物取引が石油市場で実需を反映しない形で投機資金の対象になって、時に経済活動に大きな影響を及ぼしていることは周知のことである。石油市場のように大きな市場であっても世界の巨額の投機マネーが動けば相場に大きな影響を及ぼす。

日本人は米を食べなくなっているといわれるが、それでもまだ主食であることには変わりはない。この主食が投機の対象になるようなことをこの時期に選択するには、もっと国会でも議論し問題点を明らかにした上で細心の注意を払い、しかるべき手順を踏んで、実施に踏み切るべきであったのに、軽々に農政大臣の判断で決まってしまうこの民主党の政治の無神経さには唖然呆然とする。

内橋氏は大正時代の米騒動の問題を挙げ、かつまたフランスでは主食のパンは今でも公定価格が維持されていると指摘していた。

今は世界の巨額な投機マネーが、東に大豆が儲かる口があると聞けば、投機資金を浴びせ、西に米が利益をもたらすと聞けば、相場を動かして儲けようとする時代である。中国も米を主食としているが、中国の投機マネーやオイルマネーが入ってこないとも限らない。それによって米価が恐ろしい変動をしない保証はない。
認可の条件としている「十分な取引量が見込まれる」ということは上記の投機の対象に十分なることを認めていることでもある。「生産・流通に著しい支障を及ぼさない」という条件も解釈の問題であるから、第一条項と相容れないことである。つまり、十分な取引量があることは、生産・流通に著しい支障を及ぼしうることを内包している。投機の対象になる恐れが十分にあることをこの認可条件自体が示唆しているのである。主食の価格を投機マネーに委ねることになっているのである。
農政大臣や当局に異常な事態を監視するだけの力量や識見があるのだろうか。ものごとは一度振れだしたら極端に振れるものである。その時点で制御しようとしても、それで利益を上げようと目論んでいる集団や組織の利益を損なうようなことになれば、必ずうまい汁を吸おうとする政治家とつるんで圧力をかけることは十分予想される。その時想定外であったと言い逃れるのであろうか。
「価格形成の透明性確保への期待感」などと言っているが、主食の価格形成の透明性とはそもそもどういうことか。主食の場合、市場で形成された価格が透明であるとは決して言えない。なぜなら米価が高騰して、平均的収入を得ている国民の購買力を越えた価格形成になっても、透明性が高い価格という市場主義に委ねることになるからである。健康で文化的な生活を保証するのが政治の要諦の一つであるから、米価の高騰は憲法の保証する国民の生活を著しく損なうことになる恐れは十分に残した今回の認可なのである。この認可の背後には、何やらわけのわからぬ利権がうごめいているようにも思われる。

この米の先物取引の市場が「順調に」成長して一定の規模に達すると、内外の投機資金が流入してきて、米の相場を操作するような事態が遠からずくるであろう。
巨額な財政赤字に伴う、ハイパーインフレが高い確率で生起するだろうと予測される中で、主食の高騰を招きかねない米の先物取引の認可である。両者の生起が相乗的に国民の生活を壊滅的に叩きのめすだろうことが十分予測される中で、議論も尽くさず平然とやってしまう。東海・東南海・南海の大地震の連動が高い確率で予測されている中でまた大きな火種を抱えて仕舞った、と言うのが杞憂であることを祈るのみである。
管内閣は殆どの問題について、国会や閣議で議論を尽くした上で、事を運ぶということをしていない。それをリーダーシップと曲解している。おぞましい非民主的内閣である。これが市民運動を出自とする宰相が率いる内閣なのである。
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