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長崎市の裁判員日当辞退強要思想 [公務員の立場]

「21日に始まる裁判員制度をめぐり、長崎市は16日、裁判員に選ばれた市職員が有給の特別休暇を使った場合、裁判員に支払われる日当の受け取りを辞退するよう求めることを明らかにした。市人事課は「有給休暇の上に日当を受け取れば、税の二重取りに当たる。市民感情にも配慮した」としている。週明け、職員に通知する。」(西日本新聞)
どのような議論がなされて、このような決定に至ったのかは不案内であるが、公務員である前に国民の一人であるから、裁判員制度に従って、裁判員の任務を果たさねばならぬ。そのために公務員本来の仕事は免除される、というより、公務を果たすことが出来ないのは当然の帰結である。裁判員としての報酬と公務員の報酬とは別の体系である。報酬の出所が税金だと言うことだけで、二重取りという考え方は極めて異常である。この考え方を推し進めると、国立大学の教官が政府の諮問委員などに就任して手当を貰うのも税の二重取りになるだろう。勿論この場合は本人の自由意思によるものであるが、自由裁量が働かない裁判員制度での裁判員の仕事を果たす方が手当(日当)を受け取って当然である。当然だから、國も日当を職業の如何を問わず支給することを決めているのである。
長崎市の市長以下の職員が國の諮問委員や県委員を兼務した場合、無報酬で仕事をしているのであろうか。長崎市の職員がベストセラーを出したら、その印税は市に帰属するのであろうか。
現代社会は境界線が曖昧になっている社会だと常々考えているが、今回の長崎市の決定は、白黒をつけたつもりのようだが、根本の所で白黒を曖昧にしている。つまり少しの白を見ると、白と言い、多くの白を見ると黒というような本末転倒の論理である。
もし手当を受け取るべきでないという論理が正当ならば、裁判員制度の欠陥問題として公務員が裁判員に選出された場合は日当を支給しないという規定を作らせるべきであろう。
長崎市は市長が凶弾に倒れて、若い市長が選ばれていると記憶するが、手当の受給を税の二重取りという考え方を職員に押しつけるならば、公務員のストライキ権も容認すべきであろう。地方自治体に使用者と被使用者との間になれ合いがないとは言わぬが、平衡感覚を失した対応である。
公務員に対する風当たりが強いが、それに対して神経過敏になっているとすれば、お門違いも甚だしいことである。
民主主義とは金と暇とを食うものである。一見厳しい自己管理をしているようだが、その実こうした自己規制が国民や市民の自由を束縛する軌道を敷いているように思われる。歴史の鏡に照らして己を先ず見ることが大切であろう。
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