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今日の日経新聞(朝夕刊)第一面の紙面構成 [ジャーナリズム]

日本経済新聞は、経済事象を中心に扱うことを目的にした新聞である。
昨夜からTV各局で報道していた重大なニュースは、中央自動車道笹子トンネルの崩落事故であった。九人の死者が出ている。経理面では減価償却として計上しながら、老朽化を視野に入れなかったために生じた人災事故である。
各紙はこの崩落事故を一面のトップニュースとして報じている。日経新聞だけは、<「病院から施設へ」進まず>という大見出しのもとに、「高齢者 介護入院 最長に」「医療費膨張招く」という二つの副題を付した記事がトップニュースである。
この記事は、予定原稿として既に組まれていて、笹子の崩落事故をトップニュースとして扱うだけの認識に至っていなかったのかもしれないが、経済最優先の紙面構成が露骨である。しかも高齢者は、年金を含め医療費等で社会保障費の費消者で財政を圧迫していて現役世代の負担を過重にしているという現実認識が基底にあって、要介護や病弱で入院している高齢者は金食い虫だから早く死ね!と言わんばかりである。尻を叩かれなくても高齢者は順番に死んでいく。
夕刊第一面のトップ記事も、「投信分配金 3年ぶり減」の大見出しのもと、「超低金利長引き運用不振」という記事で構成されている。崩落事故の記事の扱いは上記の記事よりは軽い扱い方である。
朝刊の流れを受けて意地になって紙面構成をしているのかもしれないが、経済最優先の記事を書いている割りには、有効な経済政策の提言は出てこない。人命よりも重い経済への万能薬はないということを自ら示しているようなものであろう。そうした自省がないことを端なくも今日の日経新聞は朝夕刊を通じて露呈していると言えるだろう。日経、読売、朝日の読み比べ欄もいつの間にか消え失せている。
年金についても、物価下落にスライドした減給が三年間放置されてきた責任がまるで年金受給者の側にあるかのように書いたりしている記事もある。正に政治の側の責任である。仮に高齢者への配慮に基づく政治的判断であったとしても、有権者たる高齢者の責任ではない。
社会保障費が初めて100兆円を越え、年金が52兆円を占めるという。支給された年金の52兆円がどのよ程度まで使われているかは検証できないが、生活費や娯楽費などとして費消されると考えるのが妥当だとすれば、3%の消費税は国庫への歳入となる。52兆円の80%が消費税の対象となる使われ方をしていれば、12億円が税として歳入になり、雑所得として課税される年金受給者もいるのだから、これも国庫の歳入となる。単純に計算しても、年金のみならず社会保障費は巡り巡って国家予算の歳入に還元している比重はそう軽くはない。公共投資が雇用を生み、GDPに寄与して歳入になるのと余り変わらない歳出の性格をもっている。

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