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振る勇気と振らない勇気:投手の心理と打者の心理 [プロ野球]

昨日の楽天とソフトバンクの試合は、杉内の制球が悪く、期待していた熱のこもった投手戦にならず、田中の三振奪取だけが目立った一方的な試合展開になった。
先制先行した楽天を追撃できる唯一のチャンスだった5回のワンアウト満塁で、9番の山崎が三球三振に終わり、川崎も凡退して、ソフトバンクは結果的に二試合無得点の惨敗を喫することになった。
一般に、代打に出たら、先ずファーストストライクを振る勇気が求められる。打つために登場した代打が一球も振らずに三振することも間々見受けられる。代打でバットを振るのはなかなか勇気がいるという解説者の見解も多い。確かにバットを振らないとボールに当たりはしない。
一方、昨夜の山崎選手の三振は、一球目は内角のストレートに対して思い切り振って、後の二球は外角に鋭く曲がるスライダー系のボールで、見送れば完全なボールであった。特に三球目は相当はずれていたが、山崎は簡単に振って三振を喫していた。
山崎と田中は伊丹市の出身で山崎の方が大分先輩であるが、恐らく伊丹の中学時代の田中の耳には、山崎や西武の中島が優れた選手であるとの評判は入っていたであろう。先輩の意地で山崎は何とか外野フライでも打ちたかったのだと思うが、格の違いを見せつけた場面であった。満塁でもセイフティーバンドの格好なりして牽制していれば、二球目や三球目の鋭い変化球であったが、あんな空振りの仕方はしなかったであろう。結果論ではないが、どうせ三振するなら、見送りの三振も空振りの三振も同じなのだから、じっくり見据える我慢も大切なように感じた。素人の印象批評かもしれないが。
最近の野球はフォークボールを中心にした落ちる変化球が幅をきかせている時代である。スリーボールツーストライクの局面では、投手がストライクゾーンにワンバンドするほどの変化球を投ずると殆どの打者は空振りしている。ツーボールツーストライクの局面では見逃していた打者でもフルカウントになると空振りするのを頻見する。
フルカウントでは、打者は投手がボールを投げるはずがない、ストライクを投げるはずだという先入見も手伝って振ろうとする意志が一層強まっているから、ストライクゾーンからボールに変化する投球に反応してしまうというのは分かりよい道理である。
こうした一般的傾向が分析的に把握できるならば、三振を喫する点では同じなのだから、打者は振る意志を捨てて見送る勇気を持てば四球を選ぶ道が開けるのではないであろうか。そもそも変化球を投げるのは、打者のバットにボールを当てさせないために考案されたものである。
昔、少年時代であるが、アメリカ映画に「春の珍事(椿事と書いていたかもしれない)」という映画があった。素材が木製のものを避ける薬を偶然発見した投手がそれを利用して、薬をしみこませた布をグラブの穴に隠して、投球する時にボールに塗り、投げると何の変哲もないハーフスピードのボールなのだが、打者が振るとボールがふっと浮き上がって空振りしてしまい、三振ばかりで、野手同士はグランドに座り込んで遊んでいた。
全くの空想映画であるが、このストーリーを考えた人は、野球というゲームの本質を理解していたのだと今にして思う。打者は打つためにバットを持って打席に入るのであるから、投手は打たれないように工夫をするのである。打者はストライクなら必ず打ってくる、投手は四球を出したくないぎりぎりの局面がフルカウントの局面である。投手がバットを振っても当たらない所にボールを投げる意識と工夫を逆手に取って、打ちたい、打ってやろうとする気持ちを冷却させて打たない勇気で一つの局面を打開できるのではなかろうか。
故鶴岡選手は、当時は山本と言っていたが、ツーストライクを取られるまでは打つことは殆どなかった名選手だが、投手の技術も進歩し器具も進化した今の時代に当てはまらないのであろうが、投手分業時代の打者、殊に二割そこそこの打者はもっと考えてみてはどうかと思う。
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