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学校法人の資産運用失敗と文科省の通知 [大学問題]

<資産運用で多額の損失を出す私立大学が出ていることから、文部科学省は所管するすべての学校法人に対し、金融商品でも運用を慎重に行うよう注意喚起する通知を六日付けで出した。文部科学省は通知で「学校法人の運営は学生の納付金や浄財である寄付、税金である補助金で支えられ、運用の安全重視が求められる」と指摘。元本保証のない金融商品での運用は「必要性やリスクを十分考慮し、慎重に取り扱うべきだ」とした。>(1月7日付け日本経済新聞)
泥棒を見て縄をなうという俚諺がある。正に文科省の通知はそれに近い。金融立国などというお為ごかしを説いた時の財務大臣に合わせたのかどうかは分からぬが、監督官庁として見て見ぬふりをして、学校法人に危険な資産運用をさせていたのではなかったか。今頃何をのたまっているのかと言いたくなる。
一番いい加減な金の使い方をするのは、人の金を人の為に使う時だと言ったのはフリードマンとかいう学者だそうである。もちなれぬ億単位の己の腹は傷まぬ人様のお金をもったために、生半可な知識で証券会社のおだてに乗ってスワップ取引などという訳の分からぬ商品に手を出しかねない理事や理事長がいることを予見して、寄付行為にも定められていない資産運用に走る危険を察知して、金融立国が説かれた時にこそ、補助金を受けている以上はリスクの高い金融商品に手を出すことは罷り成らぬという通知を出して、手を出した法人には補助金を減額若しくは不交付というように戒めておくべきだったのである。今後の私学助成も資産運用をするだけの余裕のある法人に対しては減額配分してもよいのではないかと思う。

中部地区で損失を確定して発表した二つの学校法人は、ぬけぬけと30億近くの損失を確定したが、それまでに得た収入と差し引きすると実質的な損失はそれほど大きくないと言いつくろっている。一億円は受験料の何人分なのか。通常の予算審議などでは、万円単位どころか千円単位の金額にでも文句をつけてけちるのに、億単位の損失に対しては責任すらとろうとしない。
聞くところに拠ると、どちらの法人も表に出ていない含み損は100億円に近いのではないかとか。某大学の方は、法人の存立を危うくするほどの含み損を抱え込んでいて、三月の決算ではそれが白日の下に晒されるとか。教職員の給与の減額や経常経費の減額が必至だろうとのことである。事態を把握している私学財団や創立以来初の赤字決算を発表している幹事銀行も貸し渋りに走って、大学が目論んでいる新計画も資金的に行き詰まるだけでなく、創立以来の危機的状況を迎える危惧すらあるとか。

スワップそれ自体は分かり易いが、それに付随している契約条件にワナが仕掛けられていて、英文の契約書を読んでもよく理解できないような代物だという話とか、今いくらの損失を出しているかは、支店では分からず、本店の専門家しか確定できないとか、よくもこんなでたらめな商品に手を出したものだと話を聞いていて背筋が寒くなった。
某大学では専門家に委嘱して対応しようとしているようだが、そんな商品に手を出したのは独断専権がまかり通ったからであろう。恐らく学内の規定通りにことを諮って衆知に照らしたならば、必ず注意を喚起する人がいて独断専横は避けられたであろう。後出しの文科省の言わずもがなの通達など必要もないことなのである。
駒沢の理事長は解任されたが、解任だけで背任とかの事案にならないのは不可思議である。先行きが読めないためにしでかす事業の失敗はやむを得ないが、今回の資産運用の失敗はきちんとした知識さえあれば、難に及ばなかった。知識がなかったり、理解しがたいと思えば、手を引けば済む底の問題だったのである。
某大学の責任者は巨額の負債を法人に遺したままこの世を去ったようだが、遺族には退職金まで支払われているとか。遺された法人の構成員にしたら、人妖に虐げられたようなものであって、憤懣やる方のない思いを抱いているのだろうと同情される。
それにしても証券会社も選りに選って学校法人を塗炭の苦しみに追い込むとは?!社会貢献として冠講座などを開講する学校法人を詐欺まがいの商品で餌食にするのであるから、そうした外資系の証券会社の社員がテレビで得意然と経済の先行きや社会問題などに対して、ご高説をのたまわっているのはこれまた奇妙珍妙なことではなかろうか。餌食になった方の愚かさと破廉恥さは言うも情けない。

塗炭の苦しみを味わっている大学の構成員の知人が、今まで為替や株価指数の動向に無関心であった同僚の多くが毎日の為替や株価指数に敏感になっているような異常な事態だ、と語っていた。
両大学のみならず全国の深手を負った法人の教職員の踏ん張りと知恵に期待しよう。

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