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政教分離の違憲判決と宗教法人設立の私立大学への国庫補助金 [憲法問題]

「北海道砂川市が市有地を神社に無償で使わせているのは憲法が定める政教分離に違反するなどとして、元中学教諭でクリスチャンの谷内栄さん(79)=同市=が菊谷勝利市長を相手取り、明け渡しを求めないことなどの違法確認を求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允=ひろのぶ=長官)は20日、1件について市の行為を違憲と判断した。政教分離訴訟で最高裁が違憲判断を示したのは、97年の「愛媛玉ぐし料訴訟」以来で2例目」(毎日新聞)
原告がクリスチャンであることに些かふーんという感想を抱く。
キリスト教系統の学校法人は大学を問わず数多く設立されている。勿論仏教の各宗派の設立している学校法人も数多くある。そして、これらの大学には一定の割合で国庫から補助金が出されている。特定の宗教団体の活動を援助していて、憲法に定める政教分離に背いていると言ってもよいだろう。
そもそも私学助成自体が憲法違反になる虞れが多いというのは、嘗て総理大臣を務めた竹下登の見解でもあった。
宗教法人設立以外の教育機関はさておいても、宗教法人設立の学校法人が憲法違反であることについて、この原告はどうして法的に問題にしないのか、不思議でならない。
民主党の予算の仕分け論議の時でもこの問題を提起すべきであった。もっとも私学助成という形で私学事業団に補助金が交付され、事業団が各大学に配分するという方式のようであるから、予算の査定段階で宗教法人設立の大学に交付されている金額を確認して減額すればよいのである。
言うでもなく、宗教法人を母体にした、少なくとも強い関わりを持つ政党に政党助成金を税金で支給するのも大いに問題があるが…
と同時に、原告の通う教会が固定資産税を払っているのかどうか。更に言えば、もうそろそろ宗教法人に対する非課税措置を止めるべき時が来ているのではなかろうか。

いずれにせよ、キリスト信者には、信仰の名の下に、人間は猿の進化したものではない、神の作り給うた存在であると科学的実証を否定する人も多いのであるから、そもそも憲法に抵触するかどうかを理性的に問うこと自体に大きな疑念を抱かざるを得ない。裁判の過程でこの原告にその問題を尋ねてから審理に入るべきであったろう。何故なら、法的事実を問題にする以上は、今日到達している科学的信憑性についてどのように判断しているかを質す必要があるからである。
ある意味では、習俗化していると言ってもよい一定の「歴史的事実」は社会が許容したことであって、政教分離の問題と言うほどのことでもないだろう。
一定の宗教的立場に立つ者の宗教問題を絡めた提訴はそれこそ政教分離の原則を損なっているともいえるのであって、真面目に取り上げた裁判官の論理の整合性に疑念を強く抱いた次第である。
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