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物価下落を根拠にした年金の減額の問題点 [国家財政]

<厚生労働省は公的年金の支給額を段階的に引き下げる方向で検討に入る。現在の年金は過去の物価下落時に支給額を下げなかったため、本来より多くもらっている。厚労省はこの特例で加算された部分を3年かけて解消し、本来水準に戻すことを目指す。早ければ来年度からの実施となるが、年金減額には与野党に慎重な意見が根強く、調整の難航も予想される。
 現状では2.5%多くもらっており、その分を3年かけて段階的に解消する>(日経新聞)
物価の下落時に支給額を下げなかった原因に相当することが解消したのであろうか、という疑問を抱く。
物価下落と一概にいうが、年金生活者の日常生活と深い関わりのある石油や食料品、例えばパンの値段などは上昇している。交通費や医療費が下がったという話は聞かない。むしろ、非接触カードの導入を契機に従来の割引率の高い回数券やカードの発行を止めたりして、実質的な料金値上げをしている。新聞代や放送料金も下がっていない。最近では電力やガス料金はむしろ値上げされている。
介護保険料や健康保険料は少なくとも上がっている。介護保険の会計は黒字化するように仕組まれている。
現役労働者の賃金が下がっているのは、労働条件を引き下げる因になった派遣労働の導入などに起因している。企業は人件費を抑える一方で巨額の現金を貯め込んでいる。
シニア世代の中には、確かに豊かな生活を享受している年金生活者もいるが、定年退職者の必要な生活費は月に23万円前後だと計算されている。平均生活費として試算される数字の根拠と物価下落の根拠とされる数字の関連性がどのようになっているのかを明確に示すべきであろう。
数字のからくりと統計の魔術は人を欺く場合が多い。つまり実態と乖離していることが多いのが常である。
年金財政の視点だけで年金額の問題を論ずるのは筋違いであろう。国家財政を始めとして、財政を司ってきたのは、官僚であり、政治家である。財政の整合性を無視して財政運用をしてきた反省もせずに生活者に負担を強いようとするのが今回の年金減額の検討のように思われる。
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