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野田首相の言葉遣い [政治]

大飯原発の再稼働に関連して、関係閣僚が会合をもち、一定の結論を導くことになったことに関して、野田首相は昨日「判断し決めさせて頂く」というような発言をしていたのをテレビで聞いて奇異に感じた。
この「させて頂く」という表現は謙譲表現なのだろうが、他の力によってそう決めるのだというようにも理解できる。最高権力者の首相として「させて頂く」というのは、責任回避のようにも受け取れるのである。巧みな言葉遣いと言えば、言えるかもしれないが、京都府や滋賀県知事、大阪市長が原発再稼働に不安と疑念を示している中で、「させて頂く」というのは、基本的なデータに基づく安全性を根拠にしているというより、自己の積極的なエネルギー政策に関わる全体計画の見通しも示さずにミクロな観点から目に見えない何か産業界の意図に沿ってことを運ぼうとする意図が隠れているような意識が読み取れるのである。いかにも謙虚な言葉を弄しつつ、国民の生命の安全や不安に配慮するでもなく、権力の行使に踏み切ろうとしていることの表れが見て取れる。明確に「判断する」とかせめて「判断したい」というのが最高権力者の言葉遣いであろう。
一方、消費税増税については、不退転の決意で実現を目指すと明確に発言している。党内の異論、連立政権与党の党首の意見にも耳を貸さず、自らの政治生命を賭すとまで言っている。自民党や公明党などの野党は解散をして国民の真意を問うようにと言っているが、解散して総選挙で国民の真意を聞こうとする意思はなさそうである。増税政策こそは、政府維持のためのコストとして国民に負担して頂くというのが筋であろう。権力者が不退転の決意で増税すると強調するのは説明不足も甚だしい。
過大な国債発行は政府国民の合作であったのだから、それを克服するためには国民の協力を求めるとともに政府の杜撰な財政運営や支出の厳格さを正すことが同時に為されなければならないはずであろうから、その意味では権力基盤の安定のために国民の真意を問うことが重要であろうと思うのである。
首相の言葉遣いに、本末転倒の意識が見て取れて仕方がない。
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