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学校法人の資産運用失敗 [大学問題]

駒沢大学が資産運用による失敗で154億円に上る損失を出したことが、一昨日報道されたかと思うや、今日は立正大学が148億円の含み損を抱えていることを発表したことが報じられている。
各大学の授業料が幾らなのか分からないが、仮に学生一人当たりの年間の授業料を100万円として計算すると、それぞれ1万5千人前後に相当する学生の貴重な授業料を失った計算になる。逆に言えば、それだけ学生から授業料を、ある意味では学校運営に必要な資金を超えて徴収していたことにもなる。授業料ではなく、入学金や受験料に換算すると、何年分の入学金や受験料に相当するのか、計算するのも気が重い話である。
先日の毎日新聞の余録に、フリードマンの言葉として、一番いい加減な金の使い方をするのは、人の金を人のために使う場合であると書かれていた。
ディリバテブなどという金融工学の知識を駆使して開発された商品を十分な知識もなく、証券会社の言いなりになって購入し、購入当初は恐らく高い利回りによる果実を得て、味をしめて勧められるままに投資を拡大したのであろうと推測できる。投資ではなく投機に学生の貴重な授業料を費消したのであるから、当事者の責任は重大である。
立正大学は大学が実態を公表したようだが、駒澤大学は大学の責任者からの実態説明がなされないどころか、コメントをしないと言っているとか。事態の深刻さにうちひしがれているのかもしれないが、こんな対応しかできない執行部だから、資産運用もいい加減にしたのだと言うことができるのかもしれない。

金融派生商品を駆使した商品を売りつけているのは、殆どが外資系の証券会社である。恐らく両大学も外資系の証券会社の餌食になったのであろう。

テレビ東京系列のモーニングサテライトは、秋の番組編成の更新以来、毎日出てくるゲストが外資系証券会社所属のエコノミストばかりである。彼らの解説を聞いていると彼らの解説の奥に隠されているかも知れない陰険な考えを透かしてみたくなる。隙あらば、人の懐に手を突っ込んでかすめ取ろうと虎視眈々としている連中の術中にはまっているのは両大学だけではないだろう。仄聞するところでは、中部の私立大学でも巨額の損失を抱えたり、損切りで財務に穴を開けている法人もあるとか。恐らく、円高と株安のダブルパンチの加速で幾つかの学校法人から財務を痛めているという報告が相次いで渋々出てくるのではなかろうか。うちだけではなかった!と変な安堵感を漂わせつつ、実は我が大学もこれだけの損失を出している、と恰もこの経済環境の中でやむを得ざる失政であるかのごとき体裁を取りつつ。

両親が汗水垂らして働いて得て納めたり、学生自らアルバイトをして支払った学費を訳の分からない使い方をしたのであるから、学生や学生の親は損害賠償を責任者に請求してもいいような問題であるかもしれない。

しかも私立大学は国庫補助の対象の法人である。駒沢や立正大学が受領している補助金の額は把握していないが、大学の規模から推測するに、7,8億から10億円ではないかと思う。

察するに、このような失敗の原因となっているのは、両大学のみならず、今後公然化するであろう大学ともども、意思決定方法に失敗の共通点があるのではないか。
それぞれの大学が定めている規定や手続きを無視して迅速な意思決定とかということで一部の幹部だけの意思で金融商品に手を出したのではなかろうか。株式投資でも、相当慎重な対処がいるのに、通常の知識では理解できない仕組みの商品を老獪な外資系証券会社のセールスマンの口車に乗って、えいやぁ!と迅速な意思決定をしたのではなかろうか。本末転倒もいいところである。そして、損切りになるとぐずぐずと優柔不断になって、早く手仕舞えば損失も軽くて済むのに、決断を先送りして、環境が変わるだろうと勝手な希望的予測を立てて放置して損失を拡大させた結果ではないかと思われる。バクチや投機で失敗する典型であろうか。

それにしても寄付行為にも掲げられていない事業として資産運用に手を染めていることは明らかに背任行為であり、私立学校法にも抵触することではないかと思われる。

経営に責任を負うという意味を理解していない徒輩が自己の名誉欲と権力欲で組織の経営に関わると組織の構成員はとんでもない被害を被るのである。給与や賞与の減額、研究費の削減とか、教職員の生活権をも脅かすようなことをしでかした責任は重大である。

大学はいやしくも教育機関である。その教育機関に対して投機的商品を販売するような金融機関は反社会的行為に荷担して公序良俗に反することをしていることになろう。何故なら、企業の社会的メセナという点で言えば、利益を上げた時には、その一部を教育や研究などの文化的事業等に役立てるのが利益追求主体の企業や法人の社会的貢献であるからである。
それがよりによって相手の無知につけ込んで、教育機関から金銭的利得を得るというのであるから、正に禿鷹ファンドさながらである。大学には経済学部や経営学部もあり、商法の専門家もいるが、両大学では彼ら専門家に相談もしていないだろう。迅速な意思決定を錦の御旗にして。
両大学、のみならず、今後損失を公表するであろう各大学は、損失を被った証券会社の出入りを差し止めにして、校門にお断りの看板を出し、セールスに来て一歩でも校内に足を踏み込めば、不法侵入で警察に通報するくらいの対応をすべきであろう。
そして、どの証券会社との契約による損失失敗であるかを公表することである。悪質な外資系証券のリストが浮かび上がるというものである。そのリストにはモーサテに登場する外資系証券会社がずらっと並ぶのではないかと推測している。
18歳人口が200万を超えた時代に旧文部省は臨時定員なる措置で、施設や教員はそのままにして、学生収容定員を増加させるという応急処置で対応した。それで私立大学の財政基盤はある程度確立されたと聞く。
その時の収入をこともあろうに投機に走って費消し、学生の教育環境整備や教員の研究条件向上を阻害した罪は万死に値する。
勿論、投機に成功して法人の財務基盤の強化に貢献していたとすれば、どうなのかという反論もあるかもしれない。しかし、相場や投機で大もうけして企業や組織の財務基盤を強化した事例は殆どあるまい。利益を上げているのは何時も胴元である。その胴元すら危ういのが現今の経済危機の本質でないかと思うのである。
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