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学校法人の資産運用失敗(承前) [大学問題]

随分旧聞に属するデータであり、かつ、データ所載の雑誌等を把握していない不備があって恐縮であるが、2008年3月期の貸借対照表に注記されている保有有価証券の時価と簿価、その差額について、アンケートの回答のあった57大学中、38大学が含み損を抱えていて、07年3月期の31大学より7大学増えている。
有価証券評価損ワーストの順位にランクされた学校法人は以下の通りである。
1)慶応大学    -22555百万円         11)創価大学       -1821百万円
2)立正大学     -9664百万円         12)東京理科大学    -1649百万円
3)駒澤大学     -8191百万円         13)流通経済大学    -1627百万円
4)千葉工業大学  -6945百万円         14)九州産業大学    -1425百万円
5)福岡大学     -3688百万円         15)関西大学       -1358百万円
6)芝浦工業大学  -3609百万円         16)大阪経済大学    -1122百万円
7)東京経済大学  -2163百万円         17)亜細亜大学      -1080百万円
8)関西学院大学  -2088百万円         18)同志社大学       -996百万円
9)大阪工業大学  -2059百万円         以上だけの合計     -74072百万円
10)國學院大學   -2032百万円
アンケートに回答した大学のワースト18位だけで740億7千2百万円の含み損である。回答しなかったりここに挙がっていない大学を合計すると1000億円に達するだろう。国庫補助の約半分である。
駒沢の154億円や立正の148億円のように損失を確定した大学は3月時点から大幅な損失の拡大を抱え込んでやむなく損切りをしているのである。このまま抱え込んでいると、投資商品にもよるであろうが、含み損は拡大するだけである。
慶応大学では,世界の大学を標榜して、入学金を下げ、教職員の待遇も切り下げたとか聞くが、その遠因はこうした資産運用の失敗に起因するとすれば、実に腹立たしいことではなかろうか。
慶応は昔から、為替取引なども行っていて、資産の運用には積極的な法人であるが、諭吉先生が生きていたら何と言うであろうか。いっそのこと慶応証券でも設立して運用すればよいし、各学校法人の資産運用を同業者として援助するくらいのことを考えればいいのかもしれない。しかし、リーマンブラザーズのように歴史のある金融機関が破綻し、シティバンクも潰れかかっているから、慶応の優秀な人材が資産を運用しても失敗するのが落ちであろうか。
大学が片方でベンチャー企業に挑戦したりしても、片方でこのような損失を出していると何をしているのか分からないというものである。
お金ほど臆病なものはない、安全なところ安全なところを目指すと言うが、大学法人も決して安全な場所ではなかったということを実証したのである。
金に金を生まそうとした打算が不条理とも言えない結果を招いたのだとすれば、人欲の非合理性が経済活動の根源にあって、いかなる数式でそれを解き明かそうとしても不可能なことなのかも知れない。
低金利時代には低金利で金を生ませるしかなく、自分だけがうまい汁を吸えると思う思い上がりの浅はかさをつくづく感じる。
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