SSブログ

生活保護費引き下げ [国家財政]

生活保護受給者の方が、低額の年金受給者や一部の労働者の賃金より恵まれている場合があったり、貧困ビジネスの温床として「悪用」されている事例があったりして、世論を味方につけつつ生活保護費の切り下げがほぼ間違いなく実施されようとしている。この生活保護費の切り下げのもたらす問題点も指摘されている。
一方、生活保護の切り下げに先んじて10月から年金も減らされることが決まっている。年金切り下げは物価上昇率に見合って改定されることになっているのだが、据え置かれて引き下げられなかった分が引き下げられる。これに対して、年金受給者から、生活保護費の切り下げが先だという意見も述べられたりしている。
生活保護費を目の敵にする風潮がなぜか一般的になっている。その背景には疑問を抱かせる受給者もいて、受給者が200万世帯を越えて社会保障費が財政を圧迫しているからだという。確かにその通りであろうが、企業に対する減税をする一方で、国民は等しく文化的で健康な生活を営む理念に即して設けられている生活保護費を減額するのは、国民生活の全ての面で生活水準を低下させることになるだろう。最低賃金も切り下げられるだろう。
問題なのは、年金受給者が年金の減額の前に生活保護費の削減が先だというような貧しいものが貧しいものの足を引っ張る問題意識でないかと思う。為政者の思う壺であろう。自民党政権は一部の金持ちと企業に有利になるような財政運営をするのを党是としている。貧しいものをより貧しくするような口実を為政者に与えてはならない。そもそも生活保護受給者の増大は、生活保護を受給している側に責任は殆どないと言ってもよい。
また、生活保護費の削減は、物価上昇率を2%に設定して、脱デフレを目指す安部政権の財政政策とも相反するだろう。貧しいものの方がものを買いたいのである。圧倒的多数の庶民の購買意欲を萎縮させるような政策運営をするのだから、どこまで本気でインフレターゲットを実現しようとしているのか疑わしいこと甚だしい。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。